Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




F




 信じられないことを聞いてしまった。

鼓動が早鐘のように鳴り響き、麻里は柱の影で胸を押さえる。

(高松室長が梅宮の血族だったなんて……)

 そんなこと、彼は一言も言わなかった。

(私が頼りないから?)

 いや、そもそもプライベートを話すほど親しい間柄でもない。

(でも、室長は梅宮さんを解放したいって言ってた……)

 きっと梅宮の家で嫌な思いをたくさんしてきたのだろう。

だからこそ、次期当主である彼女の苦悩を理解できるのかもしれない。

(あら? でも、確か梅宮さんは高松室長を知らないみたいだったけど……)

 だが一方で、梅田碧は高松のことをよく知っているような口ぶりだった。

(頭が混乱してきた……)

 軽い頭痛がしてきてこめかみに手をあてていると、満が愉快げな声をあげた。

「まああんたたちのような人間がいる時点でわかっていたことだが、

梅宮もおしめーだな。くっくっくっく、ザマーミロとはまさにこのことだな」

 暗い瞳で笑う満に戦慄する。

満さんは高松室長、いや、梅八家をどうするつもりなのだろう。

(ううん。それだけじゃない。人間全部を憎んでるって言ってた……)

 満にとって人間は邪魔な存在でしかない。

(でも、どうしてあそこまで人間を嫌うのかしら)

 何か訳があるはずだ。

それさえわかればきっと互いに和解できるかもしれない。

(そもそも、梅畑市長と知り合いなんだから好きな人間もいるってことよね)

 まだ説得するチャンスはある。

拳を握っていると、雅秋がまあな、と肩をすくめるのが見えた。










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