Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
四
I@
(信じてたのに……)
どこか裏切られたような気持ちで、悔しさに瞳が滲む。
(ううん。それも違うわ……)
自分が勝手に満と仲良くなれると思っていただけで、
彼は敵としか思っていないのだ。
麻里は暗く淀んでいく内心を叱咤して、耳をそばだてる。
(ちゃんと仕事しなくちゃ。みのりさんを助けなくちゃならないんですもの)
張りつくようにして外を見ていると、雅秋が口を開いた。
「それは梅宮みのりの安全を考慮した上でのことだ。
あれでは彼女が死んでしまう」
明確に非難する雅秋を前に満の頬が皮肉げに歪む。
「何も俺らだって次期当主一行を殺そうだなんて考えてねーよ。
現にあつらは生きてるだろう。何も問題はねーはずだが?」
軽い口調で語りつつ鋭い視線を雅秋へ投げつける満に対し、
雅秋が重い声音で語った。
「万が一ということがあっては困る。今後は重々気を付けてもらおう」
反論は許さない、ということだろうか。
脅しのようなその言葉に、麻里は眉根を寄せる。
2人の関係性がいまいちわからない。
(どちらが上なの?)
命令する側、される側、でもないらしい。
考え込んでいると、満が片足を高く鳴らした。
「俺に指図すんじゃねー! 俺らは俺らのしたいようするだけだ!
それにあんただって人のこと言えるのか?」
「言ってる意味がわからないな。……それよりも、他に何か新しい情報は?」
満の言葉を受け流し質問を質問で返す雅秋を見て、
麻里はやはり、と深く頷く。
2人は利害が一致しているだけの存在、というところなのだろう。
(なら、仲間に銃で撃たせたっていうのはハッタリなのかも)
そうだ。彼がそんなことするわけがない。
(満さんとちゃんと話さなくちゃ)
そして一緒に梅宮みのりを解放へ導くのだ。
麻里は内心で深く決意して拳を握り締めた。
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