Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
四
IA
「自分の都合の悪いときは記憶力が低下するらしいなー。
まぁ、あんたがそういう態度ならそれでもいいさ。
俺も俺の好きにさせてもらうだけだからな」
(あの襲撃が市長と長の仕業だったなんて……)
涼介が庇ってくれたから何事もなかったが、
一歩間違えれば大怪我を被っていたかもしれないのだ。
(まぁ市長のほうはそこまでの指示はしてなかったみたいだけど……)
だからといって、律子を誘拐までして救出に向かった人を
襲ってもいいなどという道理があるはずもない。
(それとも涼介は襲撃があると知っていたの?
だから私のことを庇った……?)
恩を感じさせるために自らを犠牲にして
信頼を得ようとしたのだろうか。
憎たらしいことばかり言うやつだけど
人を貶めるようなことはできない人間だと思っていた。
(でも助けてくれたときの真剣な眼差しは本物だったわ)
それも騙すための演技だったのだろうか。
胸が締めつけられるように痛む。みのりは眉間にしわを寄せた。
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