Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
四
IB
(あんなに強く抱きしめてくれたのに……)
胸の痛みを紛らわせるように両腕を回し、はたと我に返る。
(こ、これじゃあまるで私が涼介のことを気にしてるみたいじゃない!)
あんな奴がなんだというのだ。
市長の企てを探るために利用しようと思っていただけの
存在のはずではないか。
(あいつのことなんかなんとも思ってないんだから!)
脳内で浮かんだことにみのりは、一人慌てふためく。
早く脈打つ心臓と一緒に頬が熱くなった。
みのりは火照った顔の熱を下げようと手を扇ぐ。
「で、他の情報つったか?」
(そうだったわ! 今は他に気をとられてる場合じゃないんだった……)
自分の考えに没頭していた間にも満と市長の話は続いていた。
みのりは気を入れ直し、彼らの会話に耳をそばたてる。
「しいて言えば、あのいけすかねー野郎のことを
麻里が気に入ってるってことか? くそっ!
なんであの野郎なんだよ!」
満が嫌悪感をあらわに、悪態をつく。
だがそれは、人間だからというよりは麻里と親しげにしている
高松個人へ対してぶつけているようだった。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|