Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




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 茶化すように言う満へ雅秋は苦笑する。

「すぐ下の弟が理事になっていてな。あちらの動向も気になるんだ」

「2番目の弟より従順な弟だったんじゃねーのかよ? チッ、仕方ねーな。

じゃあ、そいつのことは俺が探っといてやるよ」

 面倒臭そうな顔をするくせに様子を見てくれると約束する満を見て、

物陰にいた麻里はひっそりと微笑む。

(さすが満さん。困ってる人を見過ごせないのよね)

 やはり自分の見立ては間違っていない。

だからきっと、自分たちを襲ったのには深い意味があるのだろう。

(確かめなくちゃ)

 拳を握り2人の様子を探っている視線の先で、雅秋が軽く頭をさげた。

「すまない。頼むよ」

「あー任された。まだ何かあるか? なかったらさっさと帰れ。

ここはあんたがいていい場所じゃねーからな」

 手で帰るよう促す満を前に、雅秋が微苦笑を浮かべる。

「ああ。そうするよ」

 軽く肩をすくめ、雅秋が来た道を戻っていった。

麻里は意を決して柱の影から一歩を踏みだす。

「……満さん」

 ためらいがちに名を呼ぶと、弾かれたように満が振り返った。










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