Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


四


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　身悶えるように体を揺らす冴島を尻目に、

いつの間にか席を立っていた律子が涼介へひそひそと話しかける。

太一は内緒話をする二人に、耳をそばだてた。


「八匹の蜘蛛って……梅畑君聞き覚えのある単語ね？

偶然なのかしら？」

「たぶん八蜘蛛神社のことに関係あるんじゃないかと思います」


　涼介の言葉に、律子は驚きつつもどこか納得した様子で

ゆっくりと頷いてみせる。

まさか昔話を聞きにきた先で八蜘蛛神社に繋がる話が聞けるとは

考えもしていなかった。

彼らの導き出した結論に、ドキドキと胸が高鳴る。


（お兄ちゃんは最初から八蜘蛛神社のことを聞くために

先生に会いにきたんだ！）


　なんてすごい人なのだろう。

昔話を確認がしたいと言ったときは、

なぜそんなことが必要なのかと涼介のことを訝しく思った。

それでも彼のあとへ着いて行けば問題ないと思い直し、

彼に従ったのだ。結果としてそれは大正解だった。


（お兄ちゃんについて行けばぼくは必ず黄金梅を咲かせられる！）


　祖母が目尻に皺を作って笑いながら喜ぶ未来を想像し、

太一は頬を緩める。その傍らで冴島へ近づく律子の姿が見えた。