Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


四


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「ああ。卒論ちゃんと持ってくるんだよ」

　軽い調子だが、おそらく本気で心配しているのだろう。

柔らかさの増した冴島の声音に涼介は口元を綻ばせる。

「はい、必ず」

　黄金梅のことが解決したら、の一言を内心で付け加えながら答えると、

太一が今一度頭をさげた。

「羊羹ご馳走様でした。

おいしかったよ。お兄ちゃんの友達のお姉さんとお兄さんもまたね」

　精いっぱい丁寧にお辞儀を施す太一のあどけなさに、

丸山と友永が同時に破顔する。

「またねー」

「またおいでねー」

　満面の笑みで手を振る２人を横目に野木崎がもう一度礼を述べた。

「お忙しい中ありがとうございました。

友永くんと丸山さんもありがとうね。それじゃ、失礼します」

　野木崎の言葉を合図に涼介はドアノブに手をかける。

扉を開いて太一と野木崎を先に出し、振り返った。

「丸山さん、友永、また今度」

　軽く手をあげると、丸山が湯呑を持ちながら首を上下させる。

「はいよー」

「お前ちゃんと来いよなー」

　苦言を投げかけてくる友永の言葉を手でいなし、涼介は研究室をでた。