Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


五


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「忠信様？　おばちゃんはこの人知ってる？」


　涼介と初めて会ったときもそうだった。

最初はわからなかったようだが、

名前を聞いて驚いていたことを思い出す。


（きっとおばちゃんは大人だから

あのお兄さんが誰か知ってるかも）


　期待を込めて見つめてみるが、律子は困惑気味に眉をひそめた。


「んー。どこかで聞いたことがあるような？

でも梅畑君たちが『様』づけで呼んでるってことは……」

（おばちゃんが知らないんじゃ、あんまり偉い人じゃないのかな？）


　ぶつぶつ言いながら考え込む律子を見て、

太一も眉間に皺をよせる。その間も雅仲と忠信の話は続いていた。


「いや、ここじゃあれだしね。また次の機会にするよ」


　ニコリと微笑む忠信に、雅仲が静かに頷く。


「さようですか」

（うーん、やっぱり偉い人なのかな？）


　雅仲のほうが偉いように見えるが、実際はその逆のようだ。

太一はあべこべな二人の関係性に、大人って不思議だな、

と内心で首をひねった。


「このフロアで降りられたということは、

今日も冴島教授のところに行かれるんですか？」

「ええ。冴島教授はたくさんの伝承を研究されてますからね」


　太一は聞くともなしに聞こえてきた名前に、目を見張った。