Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


六


�A

「向こう側にスナック遊召（ゆうめ）があるだろう？

そこの奥の細い道をまっすぐに行ったところだよ」


　鳥居へと戻ると背後から腕が伸びてきた。

自分のあとを涼介たちもついてきていたらしい。

隣に立つ涼介が指差した場所へ目線を向ける。

小さな店の横に、軽自動車すら入らないような脇道が見えた。


（あそこを真っ直ぐ進んだらお兄ちゃんの家かー。

ふふふ、なんだか冒険してるみたい）


　太一がゲームで宝箱を見つけたような気分になっていると、

律子が涼介とは反対側に立った。


「あら、本当に近いのね。

姪っ子さんや甥っ子さんも一緒に住んでいるの？」

「敷地だけは広いので、つい最近まで３世代で住んでましたよ。

あ、両親だけは梅願の近くに移り住んでますけどね」


　なんでもないように話す涼介とは逆に、

律子の瞳は真ん丸に見開かれていた。


「さ、さすがは梅八家のかたねー」


　太一は、律子の乾いた笑い声を聴きながら首をかしげる。


「３世代？」


　こちらの疑問がわかったようだ。

涼介はああ、と柔らかな声で首肯すると、指を１本づつ曲げた。