Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


六


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「鍵があるとしたら、我が家なんですけど……」


　太一は口をポカンと開けたまま涼介を見つめる。

まさか神主ではなく、青年が持っているとは想像もしていなかった。


（お兄ちゃんちが神主さんもしてるってことかな？）


　だが、そんな話は出ていなかったはずだ。


（もしかしたらお兄ちゃんちが梅八家の人だからなのかも）


　梅八家は黄梅市を治めている梅宮に連なる一族だ。

その１つ柱でもある青年の家がこの近くにあるのだから

鍵を持っていても不思議ではない。もやもやがすっきりと晴れ、

ウキウキとした気分で涼介を見つめる。

だが、彼の表情はどこか気落ちしているようだった。

それを律子がちらりと見つめたあと、社から数歩離れる。


「他に何かさっきの先生の話からできそうなことってないのかしら？」


　探るように背伸びをしてみたりしゃがんだりする律子の様子に、

太一は首をひねった。


（あれ？　鍵を取りに行かないのかな？）


　しかし、太一が口にする前に涼介が錠前を手に持ったまま唸る。


「うーん。他には何もできそうなことがないんですけど。でも……」


　ふいに涼介の声がやんだ。

太一は何か見つかったのかと、青年に近づいた。