Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


二


�I�I�@

『野木崎律子です。太一君から聞いたのだけど梅畑君のメアドであってるのかしら？』

　野木崎の文章を読むなり、涼介は慌てて返答する。

『大丈夫です。

実は黄金梅の話を正直に説明しようとしたんですが言い方が良くなかったみたいで、

太一君のお母さんとおばあさんを怒らせてしまって。

今太一君の家の前にいるんですが、

できれば一緒に説得してもらえないでしょうか？』

　送信して返答を待つ。もしかしたら、いや、しなくても、

おそらく呆れてしまうだろう。

だが、今の自分にはもうどうすることもできない。

なんとかして太一との交流を絶たれないようにするためにも、

野木崎の援助が必要だった。

（頼む！　返事してくれ！）

　待つことしばし、短い着信音が鳴る。

ほっとしてメールを開くと、思った以上に冷静な答えが返ってきた。

『え！　襲われちゃったことも話ちゃったの？

それは少し軽率だったかもしれないわね。

説得する分にはもちろん構わないけど、今日は無理よ。

何せうちも私が昨日帰ってこなかったせいで心配させちゃったみたいだし。

梅畑君もご家族が心配してるだろうから、とりあえず家に帰りなさい』

　母親なんだなあ、と変なところに感心してしまいながらも、

涼介は急ぎ文を打つ。

『そうはいきませんよ。わかってもらえるまで帰らないって宣言しちゃったんですから。

一度言ったことを覆したらまた信用されなくなっちゃうじゃないですか』

　そうなのだ。太一が幼い頃の自分と重なってしまい、つい熱くなってしまった。

その結果あんな言い方になってしまったが、それでも主張に間違いはないと思っている。

（俺みたいな人間になってほしくないもんな）

　あれだけ純粋に頑張っている少年の気持ちをないがしろにしてほしくない。

（獣人と仲良くしちゃいけないなんて、そんなのやっぱり変だ）

　みのりの理想はあまりに理想に過ぎると思っていたが、それではいけないのだと痛感した。