Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


二


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（みのりさん……）

　自分は彼女を見くびっていたらしい。

「謝らないとな……」

　だが、どうやって……、と夜空をぼうっと見上げていると、

またしても着信音が鳴った。

『だからと言って家の前に居座られるのも迷惑以上の何ものでもないわよ？

それに今は何かと物騒なんだから！』

　返信は野木崎からの怒りのメールだった。

無理もない。涼介は苦笑してメールを打つ。

『それはそうですが……。でも、やっぱり俺はここにいることにします。

野木崎さんは色々と余裕ができたらでいいんで、サポートお願いできますか？』

　このまま帰るほうが常識だ、ということはわかっている。

警察を呼ばれてしまうかもしれないこともきちんと理解している。

だが、それではあの太一の祖母が心を開いていくれることにはならない気がする。

まあ、確証があってのことではないのだが。

『そう。大学生とはいえ成人過ぎてるあなたにはもう何も言わないわ。

とりあえず明日の朝、子供や旦那を送ったらそちらへ伺うわ。

でも一緒に謝ることはできるけど、親側の気持ちもわかるから太一君が

黄金梅を実らせようとしていることは賛同できないわ。それでもいいかしら？』

　どうやら諦めてくれたらしい。

おそらく納得したわけではなく、ただ呆れかえって言葉もないだけのような気もするが。

『構いません。ですが、そのかわり野木崎さんがなぜ黄金梅にかかわろうとしたのかも

きちんとお話してください。お願いします』

　自分では野木崎の事情がわからない。

何しろ初めて会った時、彼女はぐるぐる巻きだったのだから。

『私が黄金梅に関わってるのは行きがかり上の偶然よ？　

そんなことを話しても意味がないんじゃないかしら？』

　野木崎の返答に涼介は指を走らせた。