Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


一

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「聞きたい！　ね、お兄ちゃんも聞きたいよね？」


　太一は、律子をその気にさせるために涼介にも同意を促す。

それを涼介は正確に汲みとってくれた。


「うん。もちろん」


　笑みを浮かべながら頷く涼介を見て、律子が苦笑する。

そして軽く息を吐き出すと、静かに語りだした。


「昔、昔の話よ。一人の獣人の若者が人間の女の子に恋をしたの。

だけど、獣人と人間の恋なんて周囲から反対されるでしょう？」


　律子に尋ねられるが、太一はわからず首をかしげる。

しかし、大人である涼介は知っていたのだろう。

そうですね、と悲しげに同意した。

律子は青年の返答を待ちわびていたかのように、続きを口にする。


「だから二人はみんな隠れるように逢瀬、えっとデートをしていたの。

でもそんな幸せな日々もすぐに周囲に気づかれてしまったわ」

「えー、かわいそう」


　周囲に反対されるということは、

見つかってしまえばデートができなくなってしまったということだろう。

太一は、眉を下げた。