Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


四


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「へーそうなんだ。どんなお話があるの？」

　無邪気に尋ねる太一に冴島の目が明らかに輝いた。

「そうだなあ。雪姫様が空からやってきて、太郎様と結ばれる話とか。

野木崎さんから聞いただろうけど、獣人と人間との恋の話とかかねえ」

　よほど嬉しかったのだろう。

ほくほく顔で話しだす冴島を前に太一が身を乗りだす。

「どんな話？　ぼく聞いてみたいな」

　こちらも目を輝かせた太一が冴島へ実に子供らしくおねだりをする。

勢いよく立ち上がったのは冴島だった。

「本当かい？　それは嬉しいな！　それじゃあちょっと待っていてください。

ええっと、太郎伝説、太郎伝説……」

　これは長くなりそうだ。

冴島の話はいつも興味深いができれば長くないほうがいい。

今日中に八蜘蛛神社へ行ってみたいと思っていたからだ。

本棚でぶつぶつ言いながら捜し始める冴島を見て、

どうしたものだろう、と涼介は心の内で唸った。