Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


四


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「今日は早かったなあ」


　友永が呑気に羊羹を食べながらつぶやく。

隣で丸山が苦笑しながらも頷いているのを見るに、

よくある光景なのかもしれない。

未だにこれだよ、これと言いながら本を撫でている冴島を

太一が眺めていると、律子が友永たちへ話しかけていた。


「今日は早いって、いつもはもっと時間がかかるの？」

「はい。だいたい短くて３０分くらいかかったりしますね」

「さ、３０分！　それは確かに。今回は早かったわね……」


　返ってきた友永の答えに律子が目を丸くする。

それは太一も同じだった。


（先生は偉いなー。ぼくだったら面倒くさくなってやめちゃうな）


　やはり大学の先生だけはある。

太一が尊敬の眼差しを冴島へ送っていると、

丸山がしみじみといったふうに語り出す。


「今日はこの間片づけたばかりなのが幸いしたわね」

「そおっすねー」


　友永が大きく頷いた。

だが学生たちの言葉は、律子には同意しかねるものだったらしい。


「え！　これで？」


　素っ頓狂な声をあげ、室内を舐めるかのように視線を動かした。