Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





G




「ほう。ちなみにどこら辺が違うのですか?」


 碧が雪姫に尋ねる。


「昔話では太郎と先に出会っておるが、太郎とは獣人が生まれたあとに会ったのだ」


 雪姫の発言に野木崎が声をあげる。


「え、そうなんですか」

「そうだったんですか……」


 涼介は嘆息した。

だから獣人と人間とが容易に共存できたのだろう。


(そうかあ)


 ならば、その事実を市内に広めればみのりの願いも叶うかもしれない。

深々と頷いていると、山波の怒りに満ちた声が轟いた。


「獣人が先だなんて! そんな馬鹿な!」


 肩を震わせている山波をよそに、雪姫の話は続く。


「わらわがこの地に降り立ったのは、黄金梅の種を探すためでな。

見つけたときにはすでに、この地に根をはり、実を実らせておった」

「え! じゃあ、黄金梅って地球外生命体ってことですか?!」


 ということは、雪姫は宇宙人ということになってしまう。

そんな馬鹿な、と声を上ずらせていると、みのりも抗議した。


「そんなこと古文書には書いてないし、教わってもいないわ」

「そなた黄金梅が普通の梅だと思っておったのか?」


 逆に質問され、涼介は首を横に振る。

「え、いいえ。願いを叶える梅だってことは聞いてますが」


 だが、宇宙から来た植物だと認識したことは一度もなかったのだ。

頭を混乱させていると、太一がまたしても袖を引っ張ってくる。


「そうだよ、お兄ちゃん。

黄金梅は天からもらったものだから普通の梅とは違うんだよ」


 その柔らかい脳みそ分けてくれないかな。

涼介は太一のキラキラした瞳を見つめながら、密かに溜め息を吐いた。










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