Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
五
I
「そうだ。そちの言う通りだ」
碧の言葉に雪姫が、よく気づいたと言わんばかりに頷く。
それはまるで言葉の裏を読みとろうともせずに突っかかった自分を
諌めているようで。みのりは心の中で悪態をついた。
(毒なんて言われて平然とできるのは碧くらいなものよ!)
しかも悪びれもせずに、その毒を落としたなどと言われたのだ。
うろたえても仕方のないことだろう。
現に雪姫が見えていない飛田と碧を抜かせば皆一様に胸を
なで下ろしている。みのりは自分の正当性を訴えようとした。
しかし、『次期当主としてどんな時にでも平静であれ』と
何度も言われてきた美都子の言葉が脳をよぎり、口をつぐむ。
(私は次期当主を降りるんだもの。黄金梅を無くして、
涼介とのお見合いもなかったことにするんだから……)
普通の人間と同じような行動を取ったからといって、
なんら問題はない。みのりは繰り返し聞こえてくる美都子の声を
打ち消すように、自身に言い聞かせた。
その傍らで雪姫が昔話の続きを語っている。
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