Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
五
I@
「この地に適しているのか黄金梅から毒が生み出されることは
なかった。むしろその実を口にした獣たちが人型になったり、
病が治ったのだからわらわも最初は驚いた」
「黄金梅、懐かしい匂い」
黄金梅の成り立ちを説明する雪姫に紅が恍惚とした表情で
目を細めている。
初めて種を植えようとしたときも彼女はそんなことを言っていた。
人よりも敏感な鼻を持つ獣人だから感じとるものがあったのだろうと
思っていたが違っていたようだ。
(そういえば飛田さんも種からいい匂いがするって
言ってたものね)
人型になった祖先の血が黄金梅に反応したのかもしれない。
みのりがそんなことを考えていると、麻里がおずおずと
挙手してきた。
「ええっと、基本的な質問で申し訳ないんですけど。
雪姫様は宇宙のどちらからいらしたんですか?」
「どちらと聞かれたもな。わらわは天から来たのだ」
麻里の言葉に、ドクリと心臓が嫌な音を立てる。
だが雪姫は明確な答えを言うでもなく上を見上げるだけだった。
「いや、天ってのはわかってるんですが……」
みのりは言葉を濁す涼介の声を遮り、雪姫に詰め寄った。
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