Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IA




「どういうこと? 雪姫様って宇宙人なの? え?

それってつまり子孫である私も宇宙人ってこと? 嘘でしょう」


 人間でない事実に愕然とする。

今にも膝から崩れ落ちそうになる足を必死でこらえていると、

涼介がぽつりとつぶやいた。


「え、じゃあ、俺もってことか……」

「あ、そうか。そうよね」


 梅八家の祖先は梅宮太郎と雪姫が結婚したことで生まれた

分家筋だ。

本家から生まれた多くの男児が八家へ婿入りしている。

濃い、薄いという違いはあるかもしれないが、

雪姫の血が入っていると言う意味では同じ祖を持つ者同士だと

言えるだろう。

みのりはその事実に心の底から安堵した。


(私だけじゃなくて良かったぁ)


 好きな人と同じ血を持っているとわかったとたんに、

この血が特別なものに感じられる。

みのりは容易に払拭されてしまった不安に苦笑した。

すると、雪姫がざわめく周囲の視線を集めるかのように

短く息を吐いた。


「天は天だ。話を戻すぞ」


 しかし雪姫が再度口を開く前に山波の怒号が飛ぶ。


「天って言ったら神様だろうが! 何を馬鹿言っとる!」


 鼻息を荒くする山波へ野木崎が訝しげな視線を送った。


「神様って、山波さん本気で言ってるの?」

「当たり前だ!」


 野木崎にとっては独り言だったのだろう。

間髪入れずに肯定してくる山波に顔を引き攣らせていた。


「うわ、聞かれてた……あは、そうですよねー」

「律子さん、結構声大きいんですよ」

「そんなことないでしょう」


 救いを求めるように麻里へ話しかけているが、

追い打ちをかけられたみたいだ。

野木崎は眉間に皺を寄せ、唇を尖らせていた。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む