Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
五
IB
「まあまあ、
お二人とも抑えて。雪姫様信仰はこの地に古くからありますからね」
野木崎と小越の間に割って入った碧が話をまとめる。
見計らったように太一が雪姫を見上げた。
先をせがむ太一に対し、雪姫がくすりとする。
「この面々の中ではそちが一番、肝が据わっておるようだな。
獣達が人型になって黄金梅を守り始めた頃、一人の人間が訪れてきたのだ」
雪姫の言葉にみのりが問いかけた。
「それが太郎様ってこと?」
「そうだ。太郎はこの地を治めていた一族の人間だった」
雪姫の言葉に野木崎が深く頷く。
「そうじゃなきゃ、梅宮様が今も黄金梅を守っていないわよね」
確かにそうだ。
梅宮家の当主、太郎と出会ったからこそ、今現在梅八家が存在しているのだから。
(だけど、それだったらなぜ
獣人よりも太郎様たち人間のほうが優位になるんだ?)
出会ったのも先で過ごしていた期間も獣人とのほうが長いはずなのに。
涼介は疑問に思いつつも黙して語らず、雪姫の話を待った。
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