Gold Plum

第五章


自覚


〜みのり＆涼介の場合〜


五


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　碧の言葉に雪姫が、昔を懐かしむように微笑んだ。

そしておもむろに口を開く。


「対話だ。

人の言葉を話すようになった獣人たちと対話し気持ちを理解し、

同じように民たちと対話し気持ちを知る。

最初は太郎やわらわが橋渡しをしていたが、いつしかわらわたち

抜きで対話をしておったよ」

「対話……」


　みのりは無意識に雪姫の言葉を繰り返していた。


（お母様と向き合って話すなんて怖くてできないわ……）


　美都子と会話するときはいつも、母親が一方的に話すばかりだ。

こちらの意見を言っても聞いてくれたためしなどない。

それでも何度か試したことはあった。しかし眉間に皺を寄せ冷たい

眼差しを向けられるたびに、立ち向かおうとした勇気は萎んでいき。

しまいには母の前だと言いたいことも飲み込んでしまう体質に

なってしまっていた。


「やっぱり話し合うことが必要ってことか……」


　みのりが美都子の影に身震いしていると、涼介がしみじみと

顎へ手を当てながらつぶやく。その後を野木崎が続いた。