Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





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「雪姫様、皆様が呆気にとられていますよ。きちんとしてください」


 水色の着物に身を包んだ女性が手のひらに雪姫を乗せる。


「うむ。そなたら、これがのみマロ」


 突如現れた梅田のみという黒髪おかっぱ姿をした女性のことを、

雪姫が雑に紹介してきた。

紅く小さな唇に小柄な体躯をした彼女が、黒目を細め会釈してくる。

涼介は姿勢を正し頭を垂れつつ、のみをそっと観察した。


(梅田のみって言ったら、あの文書にでてきてた太郎様の妹様だろう?)


 だが、のみが現在に生きているはずがない。

あれはもう二百年以上昔の話なのだから。


(じゃあ、この人はなんなんだ?)


 見た目からすると自分とほとんど変わらない年齢のように感じる。


(こけしのコスプレ……なわけないし)


 そもそも雪姫は意味のない冗談を言うタイプではないはずだ。


(わかんなくなってきた……)


 痛むこめかみを押さえていると、太一が歓喜の声をあげた。


「雪姫様がずっと言ってた人ってこの人だったんだー」

「そうか。そういえばよく呼んでたよね」


 太一の指摘に涼介は手を打つ。

そう言えば、事あるごとに「のみ、のみ」と騒いでいたことを思いだした。










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