Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
六
F
(飛田さんまた角が出そうなんだわ)
さっきから角を出したり引っ込めたりと忙しい。同じ獣人でも
紅はそんなに体を獣型に変化させない。興奮すると手先が瓜坊の
ように変化する。個人的に愛らしくて好きなのだが、
紅にとっては恥ずかしいことらしい。
自分の意思で変化させるのでなく、勝手に変化してしまうことは
未熟者の証だと以前聞いたことがある。
(紅より年上なのに変化を抑えられないってことは、
感情のコントロールが苦手なのかしら?)
紅に比べ、飛田は表情がコロコロ変わるからそういうこと
なのだろう。みのりがそんな考察をしていると、山波が腕を組み
重々しい声を発した。
「……ふむ。そうか。なんとなく、わかった」
「おじちゃん、わかったって何が?」
太一が山波へ合いの手を入れると、のみと雪姫を見ていた
山波の顔が少年へ移る。
「つまりな、黄金梅に不可能はないってことだ。
わかるか、坊主?」
「へぇー黄金梅ってやっぱりすごいんだねー!」
山波の漠然とした物言いに、太一はなぜだか納得したようだ。
感嘆の声をあげ、ニコニコと満面の笑みを浮かべている。
野木崎が目を丸くして割り込んできた。
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