Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





F




(飛田さんまた角が出そうなんだわ)


 さっきから角を出したり引っ込めたりと忙しい。同じ獣人でも

紅はそんなに体を獣型に変化させない。興奮すると手先が瓜坊の

ように変化する。個人的に愛らしくて好きなのだが、

紅にとっては恥ずかしいことらしい。

自分の意思で変化させるのでなく、勝手に変化してしまうことは

未熟者の証だと以前聞いたことがある。


(紅より年上なのに変化を抑えられないってことは、

感情のコントロールが苦手なのかしら?)


 紅に比べ、飛田は表情がコロコロ変わるからそういうこと

なのだろう。みのりがそんな考察をしていると、山波が腕を組み

重々しい声を発した。


「……ふむ。そうか。なんとなく、わかった」

「おじちゃん、わかったって何が?」


 太一が山波へ合いの手を入れると、のみと雪姫を見ていた

山波の顔が少年へ移る。


「つまりな、黄金梅に不可能はないってことだ。

わかるか、坊主?」

「へぇー黄金梅ってやっぱりすごいんだねー!」


 山波の漠然とした物言いに、太一はなぜだか納得したようだ。

感嘆の声をあげ、ニコニコと満面の笑みを浮かべている。

野木崎が目を丸くして割り込んできた。










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