Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IC




「ああ、スナック遊召のところで偶然……かどうかも怪しいけどね」


 思いだすと正直胸糞が悪い。

突き放すように告げると、みのりが目を見開いた。


「え、どういうこと?

それってつまり私が涼介と一緒にいるってバレてるってこと? 

あんたまさか、わた、私の居場所をしゃべったりはしてないでしょうね?」


 本当に変なところばかり気にする娘だ。


「するわけないだろう! ただ、バレてる可能性は高いと思うな」


 涼介は腹の底から否定する。

問題はそこじゃないだろうに。

胸の内で深い溜め息を吐きながら、それでも正直に考えを告げる。

だがみのりはこちらの意図に気づくことなく、唇を噛み締めた。


「そんな。もう見つかってしまっただなんて……

あ、でもこの場所は獣人たちの居住区だからまだ大丈夫よね」


 いきなり顔を輝かせるみのりに対し苛立ちが募る。


「見つかるも何も、君はこれから俺と一緒に本家へ帰るんだ」


 もう幾度目だろう、と思われる文言を発すると、

みのりが不快げに眉根を寄せた。


「だからあんたはなんでそう私を家に帰らせたいわけ?

今までの話を本当に聞いてた?」

「君だって俺の話を聞いてないじゃないか。逃げるなって言ってるだろう?

裸でぶつかってみろよ。骨は拾ってやるって言ってるんだから」


 半分やけっぱちになって開いている手で髪をかくと、

今度はみのりが溜め息を吐いた。










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