Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IA




「どんなことをすればいいんですか?」


 真剣にのみを見つめると、のみが微笑する。


「試練と言っても簡単なことでございます」


 一度言葉を切り、橋の向こうに見える遠くの山を指差した。


「梅願神社に奉納されている6つの盃で黄金梅の果汁を飲み干し、

願いが聞きとどけられたら黄金梅の実が実ります」


 盃……。

 涼介は息を飲む。

 まさか本当に6つの盃が存在しているとは思わなかった。


(何かの象徴なんだと思ってた……)


 実際に存在して、しかもそれこそが一番重要なアイテムだったとは。

これまでに出てきたアイテムはすべて雪姫とのみを復活させ、

盃の元へと誘うためのものだったのか。


(しかも、願いが叶うって)


 まさか願いが叶うことまでが真実だとは夢にも思わなかった。

そういうことに近い何かが起こるのだとは思っていたが、

せいぜい花が咲くくらいなのだと思っていた。


(これは、かなり大事なんじゃないのか?)


 緊張で湿った手を握り締めていると、善郎がカラカラと笑いだす。


「なんだ! 本当に簡単だな!」


 どこか小馬鹿にしたような声音に娘の芽衣子が反応する。


「お父さん! 声大きすぎ!」


 芽衣子の叱責を今度は飛田がなだめる。


「芽衣子ちゃんもちょっと静かにしたほうが……」


 やっぱりネックは善郎なのかもしれない。

オロオロと2人の間に割って入る飛田を見やりつつ、

どう説得すべきか、と涼介は頬をかいた。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む