Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
六
IG
「ええっと。私たちはこのへんで……」
おずおずと口を開いたのは芽衣子だった。
そう言えば、彼らにはあまり関係のない話なのかもしれない。
隣に佇む飛田へ視線を移すと、飛田も同意した。
「はい。お邪魔するわけにもいかないので」
飛田の言葉にのみが小さく吐息する。
「そうですか。それは残念です」
何故か悲痛な表情で飛田を見やるのみに対し、芽衣子が慌てた。
「ちょ! ええっと、残念なのはわかりましたが、
飛田くんは駄目ですよ。先約がいますから」
言うなり飛田の前に立ちはだかる芽衣子に、のみが首をかしげる。
驚いたのは飛田も同じだったようだ。
「芽衣子ちゃん?」
不思議そうに問いかける飛田を、芽衣子が必死で隠そうとする。
(何か勘違いしてる気がするんだけど……)
よほど飛田が大切なのだろうな。
芽衣子を眺め、ちらりとみのりの様子を窺う。
みのりは何事か思案しているらしく、難しい顔で地面を見つめていた。
(また何か悩んでるのかな……)
一人で悩むのはやめてほしい。とは思うものの、
自分ではあまり頼りにならないことなのも容易に想像できる。
(碧さんがいるしな)
彼以上に頼りになる人間もいないのだからしかたがない。
じくじくと痛む胸を押さえ、涼介はみのりから視線を外した。
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