Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
七
I@
涼介が味方になると公言してくれている。
それなのにみのりは素直に喜べないでいた。
(黄金梅をなくせば私とのお見合いも破談になるもんね。
それに紅に告白ができるかもしれないもんね)
もしかしたら純粋に自分のために言ってくれているのかも
しれない。それでもひねくれた考え方をしてしまう。
みのりは自己嫌悪に陥りながら、せめてもと思い、もう1つの
涼介の願いに応えた。
「願いを唱える時に花は咲くんだから問題はないはずよ」
「咲かせられるの? それならぼくはいいよ。
ちゃんとそのときは言ってね。
ばぁちゃんを呼びに行かないといけないもんね」
みのりの言葉に太一がはしゃぎ出す。それがよほど嬉しいのだろう。
涼介の声も心なしか弾んでいるようだった。
「そうか。それなら俺も問題ないよ。よかったね、太一君」
「うん!」
嬉しそうに返事をする太一の声が、なぜか心に深く突き刺さった。
(私も太一君みたいに素直だったら涼介に好きになってもらえたかなー)
できもしないことを想像し苦笑していると、麻里がためらいがちに
口を開いた。
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