Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
七
IF
「うわぁ、みのり様すごい!
うん。みんなが幸せになれるように願おうー!」
拳をあげて歩きだす太一の言葉に、麻里が賛同する。
「その、みんなってことは、この世界に住む人全員の幸せってことですね?
それならとってもいいと思います!」
言葉を紡いでいる内に自信がついてきたのか、
深く頷き太一を追って歩きだした。
(そうだよな。「みんな」ってことは、
「この世界に住む生物全部」って考えれば、問題ないはずだよな)
歩きだした一同に続き足を進めながら、
涼介はみのりへ頷いてみせる。
「うん。いいんじゃないかな? ちょっと漠然としてる気もするけどさ」
曖昧なところはそれぞれが自分自身で定めておけばいいだろう。
心を一つに、とは言ってもまったく同じ気持ちで願うことは
できるはずがないのだから。
(さすがみのりさんだな)
誰も傷つくことがないように、
最良の答えを導きだそうと必死に吟味し、選択する。
涼介はみのりを見つめ目を細める。
迷いながらもまっすぐ誠実であろうとする彼女が、
眩しいほどに輝いて見えた。
(幸せになってほしいな)
誰よりも一番幸福に暮らしてほしい。
しみじみ思っていると、律子が硬い声で尋ねてきた。
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