Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IF




「うわぁ、みのり様すごい!

うん。みんなが幸せになれるように願おうー!」


 拳をあげて歩きだす太一の言葉に、麻里が賛同する。


「その、みんなってことは、この世界に住む人全員の幸せってことですね?

  それならとってもいいと思います!」


 言葉を紡いでいる内に自信がついてきたのか、

深く頷き太一を追って歩きだした。


(そうだよな。「みんな」ってことは、

「この世界に住む生物全部」って考えれば、問題ないはずだよな)


 歩きだした一同に続き足を進めながら、

涼介はみのりへ頷いてみせる。


「うん。いいんじゃないかな? ちょっと漠然としてる気もするけどさ」


 曖昧なところはそれぞれが自分自身で定めておけばいいだろう。

心を一つに、とは言ってもまったく同じ気持ちで願うことは

できるはずがないのだから。


(さすがみのりさんだな)


 誰も傷つくことがないように、

最良の答えを導きだそうと必死に吟味し、選択する。

涼介はみのりを見つめ目を細める。

迷いながらもまっすぐ誠実であろうとする彼女が、

眩しいほどに輝いて見えた。


(幸せになってほしいな)


 誰よりも一番幸福に暮らしてほしい。

しみじみ思っていると、律子が硬い声で尋ねてきた。










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