Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





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「みんながってことはもちろん獣人もってことですよね?

それなら黄金梅をなくす必要はないですよね」


野木崎の言葉に涼介は目を剥く。

そんなことを結論付けられてしまっては、

みのりがこの黄梅から自由になることができないではないか。


「いや、それはまた別の問題ですよ。

そもそも黄金梅がある限りみのりさんは解放されないし、

幸せにはなれないんですから」


 すぐさま反論するも、野木崎の態度は硬化したままだ。

どうすれば、臍を噛んでみのりの様子を窺うと、みのりが全員を見回した。


「それはわかりません」


 律子へ告げるみのりを前に涼介は眉根を寄せる。


(本当に?)


 本当にみのりの言葉を信じていいのだろうか。

答えを求めて見つめ続けると、みのりと視線が合った。


「みんなが幸せになるために黄金梅が必要なら残っているはずだし、

不要ならなくなっているはずよ」


 強い瞳は輝いていて、彼女が希望を失っていないことが伺えた。

ならば、自分の答えは決まっている。


「……そうか。わかったよ。

もし黄金梅がなくなっていなかったら、その時は俺がなんとかするよ」


 もし美都子たち梅八家がこの期に及んでみのりの人格を無視し、

自分たちの理想を押し付けようとするのなら容赦はしない。

たとえ無理やり攫ってでも彼女に自由を勝ち取らせてみせる。

握り締めた拳を見つめていると、前方からのみの声がした。


「皆様、お話はまとまったようですね。お疲れ様です。

ちょうど目的地に到着いたしました」










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