Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
七
IG
「みんながってことはもちろん獣人もってことですよね?
それなら黄金梅をなくす必要はないですよね」
野木崎の言葉に涼介は目を剥く。
そんなことを結論付けられてしまっては、
みのりがこの黄梅から自由になることができないではないか。
「いや、それはまた別の問題ですよ。
そもそも黄金梅がある限りみのりさんは解放されないし、
幸せにはなれないんですから」
すぐさま反論するも、野木崎の態度は硬化したままだ。
どうすれば、臍を噛んでみのりの様子を窺うと、みのりが全員を見回した。
「それはわかりません」
律子へ告げるみのりを前に涼介は眉根を寄せる。
(本当に?)
本当にみのりの言葉を信じていいのだろうか。
答えを求めて見つめ続けると、みのりと視線が合った。
「みんなが幸せになるために黄金梅が必要なら残っているはずだし、
不要ならなくなっているはずよ」
強い瞳は輝いていて、彼女が希望を失っていないことが伺えた。
ならば、自分の答えは決まっている。
「……そうか。わかったよ。
もし黄金梅がなくなっていなかったら、その時は俺がなんとかするよ」
もし美都子たち梅八家がこの期に及んでみのりの人格を無視し、
自分たちの理想を押し付けようとするのなら容赦はしない。
たとえ無理やり攫ってでも彼女に自由を勝ち取らせてみせる。
握り締めた拳を見つめていると、前方からのみの声がした。
「皆様、お話はまとまったようですね。お疲れ様です。
ちょうど目的地に到着いたしました」
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