Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





D




「古参の組織だとは聞いていたけど、

そんな昔からあったなんて知らなかったわ」


 ぽそりと呟くみのりに視線を向けるも、

仄暗い景色の中では表情も禄にわからない。


(次期当主でもまだまだ知らされていないことがあるのか)


後でこっそり彼女へ尋ねてみようと思っていただけに、少し意外だった。

 碧はどうだろう。

梅田のみの存在についても、みのりよりよく知ってる気がした。


(彼女を守るためなんだから、当然か)


 小さく吐息していると、

のみのいる場所から可愛らしい声が聞こえてきた。


「そなた、守る会の人間だったマロ?」

「さようでございます、雪姫様」


 尋ねる雪姫に、山波が恭しく応える。


「ふむ。爺臭い顔マロ。全然わからなかったマロ」


 冗談とも本気とも取れる雪姫の言葉に、山波が一瞬息を呑むのがわかった。


(あーいじられてるなあ)


 涼介はこっそり山波に同情する。

初代様である雪姫に直接皮肉られるのは辛いだろう。

だが、山波の考えがああも頑なな状態では、

雪姫が文句の一つも言いたいのも理解できる。


「仕方ありませんわ雪姫様。

今の守る会は先ほどあちらの方がおっしゃったように

お年を召した方だけで成り立っている組織ですから」


 案の定のみに追い打ちをかけられ、

暗闇でも分かるほどに山波の顔が歪んだ。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む