Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
八
IH
「舞が終わると同時に目を閉じておりましたから。ふふふ。
それでは皆様。お取りになられた盃を前にお出しください」
のみが面白そうに笑いながら指示を出す。みのりは彼女の態度に
少しだけ腹が立ち、じろりと睨んだ。
「わかっていたなら最初に言っておいて欲しかったんですけど」
「それは申し訳ありませんでした。ここまできた皆様ならばすでに
予測していると思っておりましたので」
それで謝罪をしているつもりなのだろうか。のみはまったく
悪びれた様子もない。
むしろどこか挑発的な態度を示しているようにも見えた。
(何よアレ!
私たちの学習能力が足りていないとでも言いたいわけ)
みのりは眉間に皺を寄せた。野木崎と麻里も同意見のようだ。
口をつぐみ、のみへ目線を向けている。
(ここは私がガツンと言わなきゃダメよね)
盃を握りしめ、のみへ向かい合う。しかし、文句を言う前に
涼介が割り込むようにのみへ話しかけていた。
「こう、ですか?」
みのりは彼の声に勢いよく顔を向ける。そこには、のみの要望
通り素直に盃を前へ出す涼介の姿があった。
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