Gold Plum

第五章


自覚


〜みのり＆涼介の場合〜


八


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　本当の兄弟のような太一と涼介の姿に、みのりは唇を噛みしめる。


（大丈夫よ。ここまで無事にこれたんだもの。

あとは１つの願いをみんなで唱えるだけなんだから……）


　心の中で自分に言い聞かせながら涼介から視線を外すと、

あっけらかんとした野木崎たちの声が聞こえてきた。


「そういえば黄金梅の種を植えてからやたら光っていたわね」

「そういえばそうでしたね。色々あって忘れてましたけど……」

「ええ。ですから光ることは皆様予測されていると思っておりました」


　のみが野木崎と麻里の盃へ次々に果汁を注ぎながら

彼女たちの会話へ加わる。


（ちょっと野木崎さんも先生もさっき梅田のみを

睨んでいたんじゃなかったの？）


　和やかに話している三人を訝しげに見ていると、野木崎たちへ

顔を向けていたのみがふいにこちらを見てきた。


「みのり様で最後ですね」


　みのりは、微笑んだまま近づいてくる彼女に内心で焦りながらも

それを隠し、盃を前へ差し出す。のみの笑顔に居心地の悪さを感じ、

注ぎ口を眺めていると、野木崎たちの愚痴が聞こえてきた。


「いやーそんなんで予測はできないわよね」

「ですよね」

（なんでこの人たち、本人がいる前で平然と文句が言えるのよ）


　山波のようにのみも怒り出すかもしれない。

みのりは、彼女の堪忍袋の緒が切れませんようにと願いながら、

濃くなる梅の甘い香りを吸い込んだ。