Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
八
IIE
「そうですね。
おそらくは皆様の願いが一つにまとまっていなかったということでしょう」
淡々と告げるその言葉に、涼介は目を見開く。
「ということは、やっぱりこの中でさっきの話し合いに納得できていない人が
いるということになるのか……」
その可能性はさっきからずっと感じていた。
特に山波。
あの捨て鉢な物言いといい、態度といい、怪しいことこの上ない。
「そんな……」
小越が眉根を寄せ、瞳を潤ませる。
よほど切羽詰まった想いでもあるのだろうか。
太一も同様に必死で泣くのを我慢しているように見える。
(さすがは男の子だな)
当時の自分より素直で純粋なのに、いざという時に強い子だ。
太一は祖母のため、という強い願いがあるからこの反応は理解できる。
だが、なぜ都の人間であるはずの小越までそんなに苦しげなのだろう。
(もしかして、山波さんだけじゃなくて、この人も納得できてなかったのか?)
だから良心の呵責に耐えきれず、
涙ぐんでいる、ということなのだろうか。
(いやいや、それはないだろう)
涙ぐむほど黄金梅に対して思い入れがあることは驚きだが、
彼女がみのりと対立した考えを持っているようには思えない。
(ってことは、やっぱり山波さんか……)
ここは気づいた自分が先陣を務めるべきだろう。
腹を括って口を開きかけた時、太一が一歩踏み出した。
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