Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIF




(何がいけなかったの、あの願いで1つにまとまらないなんて……)


 どのタイミングで自分は選択を間違えてしまったのだろうか。

これまでのことが走馬灯のように脳裏を駆け巡る。しかし失敗

したことの衝撃で、上手く思考がまとまらなかった。


(あの話し合いで、みんな納得してくれていたんじゃなかったの?……)


 足元が心もとなく感じる。まるで地割れの上に立っているかの

ような感覚だった。


(一体誰が……)


 みのりは果汁を口にした面々を、ゆっくりと窺い見る。

誰も彼もがこの状況を悲しんでいるように見えた。そんな中、

太一が潤ませた瞳で目線を合わせてくる。


「ぼくちゃんと願ったよ。みんな幸せになりますようにって!」

「私もです!」

「私だってそうよ。一体誰よ!」


 太一を皮切りに、麻里と野木崎も自身の正当性を訴えてきた。

真っ直ぐ見つめてくる瞳は、嘘を言っているようには思えない。

だが、ふと野臥間の家で密談していた獣人の長と市長の顔が頭を

よぎった。


(この中で一番疑わなきゃいけない人がいたじゃない!)


 みのりは、視線を逸らすことなくじっとこちらを見ている麻里を

見据えた。










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