Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
八
IIF
(何がいけなかったの、あの願いで1つにまとまらないなんて……)
どのタイミングで自分は選択を間違えてしまったのだろうか。
これまでのことが走馬灯のように脳裏を駆け巡る。しかし失敗
したことの衝撃で、上手く思考がまとまらなかった。
(あの話し合いで、みんな納得してくれていたんじゃなかったの?……)
足元が心もとなく感じる。まるで地割れの上に立っているかの
ような感覚だった。
(一体誰が……)
みのりは果汁を口にした面々を、ゆっくりと窺い見る。
誰も彼もがこの状況を悲しんでいるように見えた。そんな中、
太一が潤ませた瞳で目線を合わせてくる。
「ぼくちゃんと願ったよ。みんな幸せになりますようにって!」
「私もです!」
「私だってそうよ。一体誰よ!」
太一を皮切りに、麻里と野木崎も自身の正当性を訴えてきた。
真っ直ぐ見つめてくる瞳は、嘘を言っているようには思えない。
だが、ふと野臥間の家で密談していた獣人の長と市長の顔が頭を
よぎった。
(この中で一番疑わなきゃいけない人がいたじゃない!)
みのりは、視線を逸らすことなくじっとこちらを見ている麻里を
見据えた。
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