Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIG




「本当にそうですか? 先生」

「もちろんです!」


 麻里が間髪を入れずに応えてくる。きっと太一たちなら

何の疑いも持たず、彼女の言い分を信じてしまうだろう。

だが麻里が周囲を騙している状態だということを、

自分は知っている。


「嘘をつかないで下さい。私、見たんですから!」

「ええ?! な、何をですか?!」


 諌めるように麻里を睨みつけると、彼女は声を裏返えし、目を

真ん丸に見開いた。この期に及んでまだ誤魔化すつもりなのだろうか。

みのりは往生際が悪い麻里へ苛立ちを募らせた。


「え、急にどうしちゃったの?」


 野木崎が横でおろおろしながら麻里とこちらを交互に窺っている。


(あくまでシラを切り通すつもりなのね。見損なったわ。

そんな人じゃないと思っていたのに……)


 少し頼りないところはあるが、誠実な人だと思っていた。

しかし、それはただの願望だったらしい。


(いいわ。私が先生に印籠をぶつけてあげる!)


 言い逃れできない証言をすれば、麻里も腹を決めるだろう。

みのりは野木崎の質問には答えず、麻里を問い詰めるため大きく

息を吸い込んだ。










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