Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
八
IIH
「私、知ってるんです! 先生が高松さんの仲間だって!
首都再計画ってなんですか? 何が目的なんですか?」
野木崎の息を呑む音が聞こえた。他の面々も驚いているようだ。
目を見開く者、首をかしげる者、口をぽっかりあけたまま動かない
者もいた。みのりはさらに言葉を重ねた。
「先生は初めから願いを1つにするつもりなんてなかったんじゃ
ないですか?」
辺りに声が響き渡る。みんなが固唾を呑んで見守る中、麻里が
沈痛な面持ちで見回した。そして、ゆっくりと口を開く。
「確かに私は首都再計画に携わっている人間です。でもだからこそ、
願いを1つにしてみのりさんの理想を実現させなくちゃ
ならないんです!」
一人一人に言い聞かせるように麻里がみんなと視線を交わして行く。
そして自分の主張を言い終わるや否や、ぎらつかせた瞳を向けてきた。
「みのりさん! 私はあなたを解放させるためにいるんですから!」
(解放? それって東郷都も黄金梅をなくしたいって思ってるって
こと?)
それならば最初に自分が願ったものと一致する。
だが、それが都の願いならば、やはり麻里が別の願い唱えたという
ことではないのだろうか。みのりは顔をしかめた。
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