Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





III@




「高松さんが?」


 涼介は目を剥いて小越を見据える。


「なぜ彼がそこまで? いくら市を開かれたものにしたいからって、

梅八家の人間でもない限りみのりさんを解放するってことまで

念頭に入れられるはずがない。あの人は一体何者なんですか?」


 立て続けに尋ねると、小越が恐れるように身を縮める。


(しまった)


 責めるような口調になってしまった。

だが、もしここで何も訊かずみのりの身に何かあったらと思うと、

いても立ってもいられない。

困ったように眉根を寄せている小越へ近づく。

さらに問い詰めようとすると、野木崎が割って入ってきた。


「ちょ、ちょっと待って!

そもそも黄梅の問題になんで都が入ってくるのよ」


 小越の言葉で我に返る。

 確かにそうだ。

 なぜ黄梅の問題に都が関わってくる必要があるのだろう。

答えを求め改めて小越を見やる。

視線を受けて小越が唇を噛み締めた。

しばし目を伏せた後、ためらいがちに口を開く。


「そ、それは……、私もよく分からないんですが、

たぶん都は黄梅と手を取り合って新たな観光事業を開拓していきたいと

思っているんだと聞いています」


 言葉をつっかえながらも真っ直ぐに見つめ話してくる小越の言葉を受け、

涼介は思考を巡らせた。










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