Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
八
IIIA
「いつの世も人は諍いがたえないマロね」
腕を組み考え込んでいると、雪姫が吐息するのが聞こえる。
「そうですね。ですが私たちは傍観者ですよ雪姫様。
いつものように静観しておりましょう」
珍しく真剣な声音でのみが告げると、雪姫のしゃべりがぴたりとやんだ。
(雪姫は俺たちに何か期待してるものがあるんじゃないのか……)
てっきり叶えたい望みがあるからこそ出てきたのだと思っていた。
(本当に何もしないつもりなのか?)
だが、自分たちの考えを一方向に誘導するようなそぶりも見せてこない。
(ってことは、やっぱりこれから先の行く末は、すべて俺たち次第ってことか)
荷の重いことだ。
100年以上前からの因縁を、自分たちだけでどうにかせねばならないのだから。
いっそのこと「こうしてほしい」と言ってくれたほうが、
まだましなような気さえしてくる。
溜め息を吐いていると、太一が横にいる善郎へ尋ねた。
「ねぇ、おじちゃん。みんなは何の話をしてるの?」
太一の問いに、善郎が目を瞬かせる。
「……お……? う、うむ。わかんらんが、もめているらしいな」
顎に手をやり視線を逸らす善郎を見て、涼介は知らず眉間に皺を寄せた。
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