Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIIA




「いつの世も人は諍いがたえないマロね」


 腕を組み考え込んでいると、雪姫が吐息するのが聞こえる。


「そうですね。ですが私たちは傍観者ですよ雪姫様。

いつものように静観しておりましょう」


 珍しく真剣な声音でのみが告げると、雪姫のしゃべりがぴたりとやんだ。


(雪姫は俺たちに何か期待してるものがあるんじゃないのか……)


 てっきり叶えたい望みがあるからこそ出てきたのだと思っていた。


(本当に何もしないつもりなのか?)


 だが、自分たちの考えを一方向に誘導するようなそぶりも見せてこない。


(ってことは、やっぱりこれから先の行く末は、すべて俺たち次第ってことか)


 荷の重いことだ。

 100年以上前からの因縁を、自分たちだけでどうにかせねばならないのだから。

 いっそのこと「こうしてほしい」と言ってくれたほうが、

まだましなような気さえしてくる。

溜め息を吐いていると、太一が横にいる善郎へ尋ねた。


「ねぇ、おじちゃん。みんなは何の話をしてるの?」


 太一の問いに、善郎が目を瞬かせる。


「……お……? う、うむ。わかんらんが、もめているらしいな」


 顎に手をやり視線を逸らす善郎を見て、涼介は知らず眉間に皺を寄せた。










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