Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
九
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「山波さん! くそっ!」
毒づき慌てて追いかける耳に、雪姫の声が響く。
「いつの世も人は変わらないマロね」
「ふふふ。雪姫様のおっしゃる通りです。私たちはどういたしましょうか?」
雪姫の呆れたような声にのみが尋ねると、
雪姫の声音が断然明るくなった。
「面白そうマロ。行ってみるマロ」
うきうきしているらしい雪姫の声とは対照的に、
みのりの叫び声がこだまする。
「山波さん! え、あ、待って涼介! 私も行くわ」
追ってくる足音を聞きながら、涼介は内心で舌を打つ。
(あぶないって言ってるのに……)
なぜ彼女はいつも危険に自ら身を投じようとするのか。
(そりゃ彼女には彼女の立場と責任ってものがあるんだろうけど……)
山波が反転して襲ってきたらどうするのだろう。
いくら碧や紅がいたからと言って、無事に済む保証はないのだ。
(これはもうみんなが追いつく前に山波さんを捕まえるしかないな)
涼介が決意していると、遥か後方からさらなる声がした。
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