Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





@




「山波さん! くそっ!」


 毒づき慌てて追いかける耳に、雪姫の声が響く。


「いつの世も人は変わらないマロね」

「ふふふ。雪姫様のおっしゃる通りです。私たちはどういたしましょうか?」


 雪姫の呆れたような声にのみが尋ねると、

雪姫の声音が断然明るくなった。


「面白そうマロ。行ってみるマロ」


 うきうきしているらしい雪姫の声とは対照的に、

みのりの叫び声がこだまする。


「山波さん! え、あ、待って涼介! 私も行くわ」


 追ってくる足音を聞きながら、涼介は内心で舌を打つ。


(あぶないって言ってるのに……)


 なぜ彼女はいつも危険に自ら身を投じようとするのか。


(そりゃ彼女には彼女の立場と責任ってものがあるんだろうけど……)


 山波が反転して襲ってきたらどうするのだろう。

 いくら碧や紅がいたからと言って、無事に済む保証はないのだ。


(これはもうみんなが追いつく前に山波さんを捕まえるしかないな)


 涼介が決意していると、遥か後方からさらなる声がした。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む