Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





A




「え?! わ、私も行きます!」

「おじちゃん! お兄ちゃんぼくも」

「えー急になんなのよー! 逃げ出すなんて卑怯よ山波さーん」


 どうやら小越や野木崎、

果ては太一までついてきてしまっているようだ。


(野木崎さん! せめて太一君をだけでも押さえておいてくれよ!)


 彼女が進んで自分たちについてきているはずがない。

 どうにかして、太一の安全を確保してくれるといいのだが。


(戻ってみんなを説得するか?)


 だが、そんなことをしている間に山波を取り逃しては意味がない。


(ここまでみんなそれなりに頑張ってきたんだ)


 特にみのりは自分の運命に抗おうと必死に努力してきたのだから。

 その思いを無駄にするわけにはいかない。


「山波さん!」


 必死に呼びかける。

 だが、山波は振り向きもせず、一心に坂を駈け上り始めてしまう。


(ちくしょう! なんて分からず屋なんだ!)


 臍を噛んでいると、ふいに見覚えのある黒塗りの車が山波の前で停車した。










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