Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
九
D
置いて行くなんて許さない。みのりは同行を拒否しようとして
くる涼介から視線を逸らさず、瞳だけで訴えかけた。
押し黙る青年へ、さらに追い込みをかけようと口を開く。
だがそれは雪姫と梅田のみの、映画でも観ているような感想に
よって阻まれた。
「なかなか見ごたえがあるマロ」
「そうですね、雪姫様」
スクリーンを前にした観客のような彼女らに、みのりは眉間に
皺を寄せる。
(いくら傍観するからってその言い方はないでしょう!)
雪姫たちへ文句を言ってやろうと意気込み、涼介から目線を外す。
野木崎が注目を集めるように、両手をぶんぶん左右に振りながら
声をあげた。
「ちょっとちょっとどういうことになってるの?
山波さんはどこへ行ったの?」
「たぶん俺の家へ。兄、雅秋兄のところにいると思います。
俺、これから行って会ってきます」
涼介がみんなを見回しながら申し訳なそうに語る。
だが、その目には山波を必ず連れ帰るという力強さを感じた。
(雪姫たちの文句はあとよ。
今は涼介に同行を認めさせることの方が先だわ!)
みのりは再び涼介へ顔を向けた。
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