Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





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 置いて行くなんて許さない。みのりは同行を拒否しようとして

くる涼介から視線を逸らさず、瞳だけで訴えかけた。

押し黙る青年へ、さらに追い込みをかけようと口を開く。

だがそれは雪姫と梅田のみの、映画でも観ているような感想に

よって阻まれた。


「なかなか見ごたえがあるマロ」

「そうですね、雪姫様」


 スクリーンを前にした観客のような彼女らに、みのりは眉間に

皺を寄せる。


(いくら傍観するからってその言い方はないでしょう!)


 雪姫たちへ文句を言ってやろうと意気込み、涼介から目線を外す。

野木崎が注目を集めるように、両手をぶんぶん左右に振りながら

声をあげた。


「ちょっとちょっとどういうことになってるの?

山波さんはどこへ行ったの?」

「たぶん俺の家へ。兄、雅秋兄のところにいると思います。

俺、これから行って会ってきます」


 涼介がみんなを見回しながら申し訳なそうに語る。

だが、その目には山波を必ず連れ帰るという力強さを感じた。


(雪姫たちの文句はあとよ。

今は涼介に同行を認めさせることの方が先だわ!)


 みのりは再び涼介へ顔を向けた。










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