Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





H




「あとでまた会おう。約束するからさ」


 太一の頭に手を置き少年の顔を覗き込む。

しばらくそのまま不服そうに尖らしていた唇を、

最終的にへの字に曲げ肩を落とした。

 こういう時、きちんと引くことができるのだから本当に強い子だ。

 涼介は微笑み、立ち上がると、野木崎へ視線を移す。


「……野木崎さん、太一君のこと、よろしくお願いできますか?」


 尋ねると、野木崎が両腕を組んでくる。


「もちろんよ。でも本来だったら梅畑君が太一君のことに

責任を持たないといけないのよ。

だから事が済んだらきちんとカズちゃんにお詫びの電話をしなさいね」


 お灸を据えられ、涼介は頭へ手をやる。

 自分で約束した手前、全うできていないことが本気で情けなかった。


(あれだけ啖呵切ったのになあ……)


 大見得切った割に約束を守れていない気がする。


「はい。すみません。よろしくお願いします」


 涼介は心からの謝罪を込め、野木崎へ一礼した。

 この人には本当に出会った時から世話になりっぱなしだ。


(なんとなく甘えたくなっちゃう人なんだよなあ)


 頬を掻いていると、横合いから声がかかった。










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