Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
九
IA
「どうやらそのようです。
っていうか、ご自分で言ったんじゃないですか」
非難がましく答えると、野木崎が肩を竦める。
「そうなんだけど。でも梅畑君が裏切者で山波さんのことは
冤罪だったのかって思っちゃったのよ。
ほら誘拐されることって普通にあるでしょう。私がそうだったし」
そんなこと普通にはないと思うのだが……。
こめかみに人差し指をあてつつ、ふと息を吐く。
「さすがに心外ですね。俺はもうみのりさんにつくって決めてるんですから」
正直な気持ちを告げると、間髪入れず紅の舌打ちが聞こえてきた。
「チッ」
本気で不機嫌そうな顔をしている。
(いくらなんでもそこまで嫌うことないんじゃないか?)
兄の碧が大切なのはわかるが、2人の邪魔をしようとは思っていないのだ。
もう少し信用してくれてもいいのに。
(これはもう一度、しっかり碧さんに俺が言わなくちゃ駄目かもな。
告白もしないで失恋ってのもかなりかっこ悪いけど)
考えただけで憂鬱だ。
がっくりと肩を落としていると、野木崎がなぜか半眼で見つめてきた。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|