Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IA




「どうやらそのようです。

っていうか、ご自分で言ったんじゃないですか」


 非難がましく答えると、野木崎が肩を竦める。


「そうなんだけど。でも梅畑君が裏切者で山波さんのことは

冤罪だったのかって思っちゃったのよ。

ほら誘拐されることって普通にあるでしょう。私がそうだったし」


 そんなこと普通にはないと思うのだが……。

 こめかみに人差し指をあてつつ、ふと息を吐く。


「さすがに心外ですね。俺はもうみのりさんにつくって決めてるんですから」


 正直な気持ちを告げると、間髪入れず紅の舌打ちが聞こえてきた。


「チッ」


 本気で不機嫌そうな顔をしている。


(いくらなんでもそこまで嫌うことないんじゃないか?)


 兄の碧が大切なのはわかるが、2人の邪魔をしようとは思っていないのだ。

 もう少し信用してくれてもいいのに。


(これはもう一度、しっかり碧さんに俺が言わなくちゃ駄目かもな。

告白もしないで失恋ってのもかなりかっこ悪いけど)


 考えただけで憂鬱だ。

 がっくりと肩を落としていると、野木崎がなぜか半眼で見つめてきた。










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