Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IC




「市長にその気がなくても梅宮の命令なら逆らうわけないじゃない!」


 みのりは感情に任せて叫んだあと、ふと我に返る。


「あれ? でも、お祖父様たちは当主にするつもりがなかったって

ことは、市長の言い分は正しくないわよね」


 いくら信頼しているからと言って盲目的すぎではないだろうか。

しかし仮にも好きだと自覚したばかりの相手の親だ。真っ向から

非難するのはさすがに気が引ける。それでもみのりは黙っては

いられずに言葉を重ねた。


「ねえ、あなたのご両親、

そんなに簡単に息子にだまされちゃって大丈夫なの?」

「駄目だろうね……」


 涼介は苦笑しながらも即答してくる。そして数秒押し黙ったあと、

何かを発見したような眼差しを向けてきた。


「でもさ、怖いところのあったあの雅秋兄が、本当はもっと違う

ことを考えてるんじゃないかって思うんだ。あの人はあの人なりに

梅八家のことを思ってると思うし、そうだって信じたいとは思って

るよ」


 涼介の口調から、今まで抱えていた想いを吹っ切ったような

清々しさを感じた。幼い頃にひどいことをされてもまだ兄である

雅秋のことを信じているのだろう。

みのりには彼の気持ちが痛いほど共感できた。










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