Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
二
ID
(私だってお父様がお母様のことを裏切っていただなんて
思いたくもないもの)
雅秋が獣人の長に告げた一言がよみがえってくる。
『奴は梅宮の血族だ』
あの時、市長は確かに高松のことを言っていた。しかも、別腹の
子だとも。つまり父である忠臣が不義を働いたということだろう。
だが、そんなことは認めたくなかった。
(親子の間が破たんしているんだから、夫婦間くらいは健全で
いてくれたって罰は当たらないと思うのよね)
まったくなんて爆弾を投げつけてくれたのだろう。ただでさえ、
市長と獣人の長が裏で手を結んでいることを知り驚愕したばかり
だというのに。しかも高松と小越が都の人間で、市長は彼らとも
つながりがあるようなことも言っていた。
(市長は何を考えているのかしら?)
みのりはどこかすっきりとした表情で微笑んでいる涼介を
見つめながら、思いついた疑問をぶつけようと口を開く。
だが、獣人の長へ軽口を叩くように言った市長の言葉が脳裏をよぎり、
みのりは開けようとした唇へ指を置いた。
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