Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





II@




「お母様は何を考えていらっしゃるのかしら?」


 高松の存在を知っていて何も言わないということは、

やはり涼介の言う通り彼の父親は祖父の可能性が高い。

だが、それならばなぜ彼の行動を黙認しているのだろうか。


(やっぱり高松さんの存在自体を認めていないってことなの

かしら?)


 父が母を裏切っていたとすれば高松は腹違いの兄になる。

もしそちらのほうが事実だったとしたら、自分は彼を兄だと

思えるだろうか。


(高松さんがお兄様……まったく実感がわかないわ)


 それは叔父だった場合でも同じだ。


(お母様も一緒なのかもしれないわ)


 だから黙認という形で、一般市民と同等の扱いをしているのかも

しれない。自分なりの結論を出した頃、黙考していた涼介が

おもむろに口を開いた。


「わからない。ただ、君の考えとは違うってことだけは確かかな」


 肩を竦めながら言われた言葉に、みのりは胸が熱くなる。

誰もかれもが母のようになれと言う中で、ずっと欲し続けてきた言葉。

それを涼介はいとも簡単に口にしてきた。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む