Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIB




「言ったろ? 俺は君につくって。君が戦うなら俺も兄貴たちと

戦うよ」

「……ありがとう」


 涼介の笑顔がまぶしくて、みのりは礼を言いつつ顔を俯かせる。

それを落胆したと勘違いしたのかもしれない。元気づけるように

肩へ置いていた手で背中をポンポンと軽く叩いてきた。


「どういたしまして。

……大丈夫だよ。君と美都子様は分かり合えるし、君にはもう

たくさんの味方がいるだろう? 祖父が亡くなる時に言った

言葉があってさ」


 おもむろに青年の声が止まる。みのりは不思議に思い、

顔をあげた。真剣な表情の涼介と視線が合わさる。


(ずっと見てたの?)


 潤みそうになる瞳を動かせずにいると、青年は静かに口を開いた。


「『いつかお前のことだけを見てくれる人間が現れる。その時が

来るまで、何事もあきらめずに生きていきなさい』ってね。

その意味が今はわかった気がするんだ」


 涼介の言葉にドクリと心臓が高鳴る。まるで自分に対して

言われているような、そんな錯覚をしてしまうほど真摯な眼差しに

みのりは戸惑った。


「え、あの、それってどういう、意味?」

「んー、なんだろうね……」


 さり気なく逸らされる目線のあとを追いかける。

くしゃりと微笑む涼介の顔に見惚れ、みのりは頬を火照らせた。










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