Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





H




「あれで勘違いってないわよね?」

「そうですよねえ」


 野木崎と麻里がコソコソと話している。

何を話しているかはわからないが、できることなら自分もそちらに

混ざりたい。みのりは楽しげに話す大人2人を内心で羨ましく

思いながら、涼介に疑問をぶつけた。


「なんで碧が出てくるのよ?」

「な、なんでって……」


 口ごもる涼介にみのりは首をかしげる。


(涼介が碧に嫌われたくないってこと?)


 それにしてはいい方が変だったように思える。しかし、他の理由が

思い浮かばず眉間に皺を寄せていると、紅が深緑の茶碗を差し出して

きた。


「お嬢さま、プリン美味しい」

「え? ええ。そうね。本当に美味しいわ。……紅何かあった?」


 そんなにこのプリンが気に入ったのだろうか。それとも別に何か

言いたいことでもあるのだろうか。いつもと様子の違う紅の表情を

見逃すまいと、みのりはじっと彼女の瞳を見据えた。


「……何もない」


 紅は小刻みに顔を左右に揺らし、そっぽを向く。動かなくなった

視線の先を追うと、涼介が紅へにこりと微笑んでいた。










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