Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
三
H
「あれで勘違いってないわよね?」
「そうですよねえ」
野木崎と麻里がコソコソと話している。
何を話しているかはわからないが、できることなら自分もそちらに
混ざりたい。みのりは楽しげに話す大人2人を内心で羨ましく
思いながら、涼介に疑問をぶつけた。
「なんで碧が出てくるのよ?」
「な、なんでって……」
口ごもる涼介にみのりは首をかしげる。
(涼介が碧に嫌われたくないってこと?)
それにしてはいい方が変だったように思える。しかし、他の理由が
思い浮かばず眉間に皺を寄せていると、紅が深緑の茶碗を差し出して
きた。
「お嬢さま、プリン美味しい」
「え? ええ。そうね。本当に美味しいわ。……紅何かあった?」
そんなにこのプリンが気に入ったのだろうか。それとも別に何か
言いたいことでもあるのだろうか。いつもと様子の違う紅の表情を
見逃すまいと、みのりはじっと彼女の瞳を見据えた。
「……何もない」
紅は小刻みに顔を左右に揺らし、そっぽを向く。動かなくなった
視線の先を追うと、涼介が紅へにこりと微笑んでいた。
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