Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
一
E
山波が太一の言葉に小さく呻く。
「うーん、そうとも言い切れんぞ。
美都子様だって心配してるだろうしなあ……って、え? 家出?」
この中でみのりの事実を知る者はいなかったのだろうか。
(しまった、太一君たちに話すべきじゃなかったのか……)
自分の迂闊さを呪っていると、みのりがもがく。
「どういうことよ、なんでお母様のことを……もしかしてお母様に会ったの?」
苛烈に燃えていたみのりの目から、一瞬怒りの色が薄まった。
(あれ? そういう反応?)
彼女が何を望んでいるのか、少しだけ理解できたような気がした。
(そうか。この子、やっぱり俺と似てるんだ)
誰かに見てほしい。
本当の自分のを認めてほしい。
そしてそれは他でもない現当主の美都子だということだ。
「あ……」
何言わなければ。
みのりの孤独を救えるような、そんな言葉を。
だが、一体どんな言葉をかけるべきなのだろう。
言うべき言葉が見つからず息を詰めていると、大きな拍手が2回した。
「皆様どうでしょう。
ここは涼介君にみのり様を任せて語り合ってもらうというのは?」
碧の言葉に答えたのは、都の人間だというメガネの人物だった。
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