Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
三
IID
「それなら、雪姫様の碑があるところじゃねえか?」
なんだって。
勢い良く視線を山波に移すと、善郎がびくりと肩を竦める。
視線が一気に集まったので驚いたのだろう。
「すごい、おじちゃんどうして知ってるの?」
素直に賞賛の言葉を告げる太一に小さく吐息してから、
山波が胸を張った。
「俺はこれでも『梅の実を守る会』の一員だからな」
「さすがですね」
碧が柔和な微笑みを山波へ送る。
「初代様のことですからな」
山波が一瞬意味ありげにみのりを見やった。
(なんだ?)
まだ何かみのりに含むところがあるのだろうか。
(この間大喧嘩したばっかりだしな……)
獣人云々の話は思った以上に根深い話なのかもしれない。
(長老さまたちとは仲いいみたいなのになあ……)
なぜそこで線引してしまうのだろう。
大人たちには大人たちのの考えがあるのだろうが、
何もそこまできっちり線引せずとも良いのではないだろうか。
「すごいんですね、山波さん」
「尊敬します」
口々に山波を賛える野木崎と小越の声を聞きながら、
涼介はふと吐息した。
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